2019年総会アピールを発表
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公益社団法人認知症の人と家族の会では、2019年6月1日に開催した総会において、総会アピールを発表しました。
憲法25条の理念に立ち返り、認知症になっても
安心して、いきいきと生活できる 明るい未来を
認知症の人と家族の会 総会参加者一同
認知症の人と家族の会は、2020年1月で結成40周年を迎えます。振り返れば、ないものを創り、あるものを広げ、社会への働きかけを続けてきた40年でした。
医療やケアの手が届かない中、やむにやまれぬ思いからつどい、ともに励ましあい、助けあう活動を全国に拡げてきました。さらに、それを介護者同士から本人同士の取り組みへと発展させてきました。また、「介護の社会化」の必要性を訴え、公的な介護保険制度の実現に結び付けました。そして、引き続き「認知症になっても安心して暮らせる社会」をめざして活動を続けています。
今、認知症の新たな国家戦略とも言える「大綱」のとりまとめや「認知症基本法」制定など、施策が次々と打ち出されています。しかし、中身は認知症の人を減らす数値目標が示され、偏見を助長し、自己責任論に結びつきかねない「予防」重視の方針が強調されています。
また、足元を見れば、日々の暮らしの支えとして充実・強化させるべき介護保険制度は、「持続可能性」の名のもと、「利用制限・負担増」が相次ぎ、認知症において最も大切な初期の支援は地域に委ねられ、重度の要介護者に偏重する方向に向かっています。掛け声と現実の隔たりは大きく、私たちの生活の苦しさや不安は、強まるばかりです。
4月の財政制度等審議会の分科会では、あらためて社会保障制度の「改革案」が示され、「小さなリスクは『自助』で、大きなリスクは『共助』で」と、「公助」の言葉は消えてしまっています。夏の参議院選挙後には、社会保障審議会介護保険部会において、要介護1、2の人の生活援助の保険外しや介護保険の利用者負担原則2割、居宅サービスでのケアプラン作成の利用者負担導入などが検討されるおそれが高まっています。
私たちは、このような動きに対して、会員の切実な声を集め、108項目からなる「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2019年版)」を作成し、厚生労働省をはじめ関係省庁に届けるとともに、すべての政党に実現への協力を要請しました。
認知症は誰もがなり得る病気です。これからの社会は、認知症の人と家族双方への支援がしっかりと保障され、認知症になっても安心して当たり前に生活することができる、真に「認知症とともに生きる社会」でなくてはなりません。
そのために今こそ、生存権と国の社会的使命を明記した憲法25条の理念に立ち返り、社会福祉、社会保障を国の責任で行い充実させることを、総会参加者の総意として強く求めるものです。
以上