No.46–励ましあい、助け合い-広くつながる「家族の会」

杉山Drの知っていますか?認知症当会副代表理事の杉山孝博Drによる連載です。全52回、毎週日曜日と水曜日に新しい記事を追加します。


公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表

公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問
川崎幸クリニック院長

杉山 孝博

「社団法人認知症の人と家族の会」は1980年1月京都で結成された。認知症の人の介護に苦闘していた家族が、互いに励ましあい助けあうこと、社会に訴えることを目的として初めて全国的なつながりをもった。

それまで談窓口もなく、孤立無援の中で介護を続けてきた人たちが集まり、気兼ねなく話し合う機会が生まれたのだ。

京都で生まれた家族の会は、燎原の火のごとく、全国の都道府県に拡大し、次々とその支部が結成されていった。現在、44都道府県に支部があり、10,900名の会員を擁する組織に成長した。

本年1月には結成30年を迎え、「ともに励まし合い助けあって、人として実りある人生を送るとともに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を希求する」という理念を高く掲げた。

家族の会が一筋の道を歩み続けられたことについて、高見国生代表は「活動が一貫してぶれなかったことです。活動の基準を、常に認知症の人と家族の幸せにおいてきたことです」と語る。

家族の会の役割は会員の相互理解、相互扶助の役割だけではない。82年以来、毎年のように「認知症の人とその家族への援助と福祉の向上を求める要望書」を厚生労働相あてに提出してきた。

2007年には「提言・私たちが期待する介護保険」を発表し、多方面からの賛同を得た。

08年度の活動を数字で示してみよう。総会員数10,856名(賛助会員を含む)、世話人数835名、支部会報の発行部数は31,036部、「家族のつどい」開催数1,781回、「つどい」の総参加者26,204名、相談件数は延べ8,936件、行政への要望46件。

非常に多彩で広範な活動を全国各地で実施しており、こうした活動がなければ、認知症に対する理解と支援の輪が今日のような広がりを持つことは難しかったであろう。

家族の会は1992年9月、国際アルツハイマー病協会に日本唯一の組織として加盟した。04年には同協会の国際会議を京都市で開催し、国内国外から約4千名の参加を得た。

さらに、毎年9月21日を中心に「世界アルツハイマーデー」の統一行動を全国各地で展開している。こんなふうに国際的なつながりも持っているのが「認知症の人と家族の会」である。

家族の会のさまざまな活動や認知症に関する詳しい情報は、ホームページに載っている。関心があればアクセスして欲しい。


杉山孝博:

川崎幸(さいわい)クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部付属病院で内科研修後、患者・家族とともにつくる地域医療に取り組もうと考えて、1975年川崎幸病院に内科医として勤務。以来、内科の診療と在宅医療に取り組んできた。1987年より川崎幸病院副院長に就任。1998年9月川崎幸病院の外来部門を独立させて川崎幸クリニックが設立され院長に就任し、現在に至る。現在、訪問対象の患者は、約140名。

1981年から、公益社団法人認知症の人と家族の会(旧呆け老人をかかえる家族の会)の活動に参加。全国本部の副代表理事、神奈川県支部代表。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問。公益財団法人さわやか福祉財団(堀田力理事長)評議員。

著書は、「認知症・アルツハイマー病 早期発見と介護のポイント」(PHP研究所)、「介護職・家族のためのターミナルケア入門」(雲母書房)、「杉山孝博Drの『認知症の理解と援助』」(クリエイツかもがわ)、「家族が認知症になったら読む本」(二見書房)、杉山孝博編「認知症・アルツハーマー病 介護・ケアに役立つ実例集」(主婦の友社)、「21世紀の在宅ケア」(光芒社)、「痴呆性老人の地域ケア」(医学書院、編著)など多数。


連載/知っていますか?認知症(全52回を読む)

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