新型インフルエンザ等対策特別措置法・感染症法改正に反対する共同声明を発信

国会審議中の新型インフルエンザ等対策特別措置法および感染症法改正案については、

  • ①感染症法の本来の主旨である感染症患者等の人権を守ることから大きく逸脱している。
  • ②罰則により、感染拡大を国民一人ひとりの「自己責任」としている。
  • ③国が今すべきことは、医療・介護現場の崩壊を防ぐための人的、経済的補償である。

という3点で看過できない内容です。

2月1日開催の常任理事会で改正案や対応を協議し、中央社会保障推進協議会など6団体と共同で「新型インフルエンザ等対策特別措置法・感染症法改正に反対する共同声明」を発信することを決定し、同日報道機関に発表しました。

新型インフルエンザ等対策特別措置法・感染症法改正に反対する共同声明

2021年2月1日
公益社団法人認知症の人と家族の会
21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会
いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉の会
守ろう!介護保険制度・市民の会
全国労働組合総連合
全日本民主医療機関連合会
中央社会保障推進協議会

 政府は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」という。)及び「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」という。)の改正案が提出され、今の通常国会で与野党での修正協議が行われた。刑事罰は撤回し、罰金を過料に切り替えるとのことであるが、私たち医療・介護・福祉にかかわる7団体は、全ての罰則を撤回することを強く求め両改正案に強く反対するとともに、国民の人権を尊重した新型コロナ感染拡大への対策を政府並びに国会に求めるものである。

 感染症法の前文は「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている」と謳っている。しかし今回の改正案は、この趣旨から大きく逸脱した内容である。

 感染者が激増する第3波の現在、「医療崩壊」が現実のものとなり、感染が確認されても医療機関や隔離施設にさえ入ることができずに自宅療養を余儀なくされ、症状が急変し死亡する事例が多発している。未受診のまま死亡した人々が罹患していたケースも激増している。新型コロナウイルスに対応できる医療の拡充を怠ってきた結果である。また介護の現場では、介護施設でのクラスターが発生しても、そのまま留め置かれる、認知症であることを理由に入院が拒否されるなどの事例が多発している。医療・介護の現場の疲弊は、1年を超えようとする今、極限に達していると言ってよい。

 医療・介護現場が崩壊の危機にある今まず求められるのは、人的配置を保障し経済的な補償をおこなうことである。また、生活に困窮する人々に対しては、収入補填するなど、個々人の事情に可能な限り配慮し、必要な支援の拡充によって安心して暮らせる状況を作り出さなければ、感染を隠す人々が増加する。求められるのは罰則により感染拡大の「自己責任」を国民に強制することではない。

 科学的な根拠に基づき国民が納得できる感染症対策、国民への十分な補償など責任を政府が果たすことを強く求め、感染症法及び特措法の改正法案に対して強く反対する。

事務局(問い合わせ先)
東京都台東区入谷1-9-5 日本医療労働会館5階
中央社会保障推進協議会  【担当:是枝】
Email:k25@shahokyo.jp ℡:03-5808-5344

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