ひとり暮らしの叔母が、私たち姪に「財布がない」とか「部屋の中の物を盗っていった」と言い、困っています。
全国の支部で行われている家族の「つどい」。その中で出てきたいろいろな悩み。その悩みに応える形で、介護初心者の悩みにお答えします。会報ぽ~れぽ~れの人気記事の抜粋です。
■ひとり暮らしの叔母が、私たち姪に「財布がない」とか「部屋の中の物を盗っていった」と言い、困っています。
資産家の叔母(90歳)は子どもがなく、夫を亡くしたあと、私たち姉妹(姪3名)と兄嫁と養子縁組し、面倒を看てくれたら財産を四等分するという「遺言書」を作成しています。
1年ほど前に認知症と診断され要介護2の認定を受けました。最近、物盗られ妄想がひどくなってきました。兄嫁が勤務しているデイケアに週5回通い、それ以外は、姉たちと私が交替で介護に行っていますが、「盗った」と言われるので姉たちは怒って「もう手伝いをしない」と言います。どうしたらよいでしょう。 (相談者:38歳、姪)
介護者A:物盗られ妄想も一時期だけ 私の姑も物盗られ妄想がとても激しい時期があり、本当に悔しくてつらい思いをしていました。「家族の会」のつどいに出席し、皆さんから同じ様な体験を聞き、一番介護している人に強く出る症状だということを教えてもらいました。「あなたを頼りにしているからこそなのですよ」と言われ、なんだか姑が愛おしくもなりました。いつの間にか物盗られ妄想はなくなっていました。しかしその頃には失禁が始まりましたが…。
看護師:認知症の勉強を 物盗られ妄想は、認知症という病気の症状からくることです。介護に関わる全員が認知症についての知識を持つことが大切です。専門職である兄嫁を中心に4人で認知症の勉強をしたり地域の認知症サポーター養成講座に参加されてはいかがですか?「知ること」は「力」です。
介護職員:不安を軽くする ものごとが分からなくなることや、忘れることへの不安や焦燥感から出る症状といわれています。
よくお世話している人が犯人扱いされるのがつらいですよね。ひとり暮らしとのこと、夜間はいちばん不安になりやすいので、それぞれのご家庭もあるでしょうが、可能でしたら交替で泊まるようにしてみてはいかがでしょうか?
施設相談員:今後を考えて成年後見の申請を 物盗られ妄想の介護は大変ですが、それが出てきたということは日常の金銭管理や契約なども困難になってこられていると考えます。成年後見制度や日常生活自立支援事業などの利用も必要になっていると思います。
介護者B:施設の利用を考える時期 そろそろひとり暮らしが限界に近い感じです。今後、介護が大変になっていけば、あなたたちがいつまでもお世話できるか分かりません。介護付き有料老人ホーム、グループホームなどの申し込みも必要な時期だと思います。
ケアマネジャー:介護分担と相続について法律の専門家に相談を 養子縁組して介護を分担しているが、物盗られ妄想が出てきて介護したくないという人も出てきているとのこと。物盗られ妄想への対応策と同時に財産分与の問題についてもみんなが理解しておくことが大切です。介護分担と相続について早めに法律の専門家に相談し、4人で確認しておいたほうがよいと思います。