厚生労働大臣からのメッセージ(世界アルツハイマーデー2022)
2022年度の「世界アルツハイマーデー」に関して、厚生労働大臣からのメッセージが届きました。(2022年6月)
2022年度「世界アルツハイマーデー」に寄せて
2022年度「世界アルツハイマーデー」を迎えるにあたり、一言お祝いの言葉を申し上げます。
1994年に国際アルツハイマー病協会(ADI)が世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定してから、今年で29年目を迎えます。世界アルツハイマーデー及び世界アルツハイマー月間(毎年9月)の機会を捉え、世界中で認知症に関する啓蒙活動が実施されています。我が国においても、長年「公益社団法人認知症の人と家族の会」が全国の支部で、街頭での宣伝活動や記念講演会など様々な啓発活動に取り組まれており、関係者の皆様のこれまでの御尽力に対し、深く敬意を表します。
諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進展している我が国では、認知症の方が2025年には約700万人、65歳以上人口の5人に1人の割合にまで増加すると言われています。認知症は誰もがなり得る可能性があり、家族や身近な人が認知症になることも含め、多くの人にとって身近なものとなっています。こうした中、厚生労働省では2019年6月に取りまとめられた「認知症施策推進大綱」に基づき、認知症への社会の理解を深めつつ、認知症の有無にかかわらず同じ社会の一員として住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、「共生」と「予防」を車の両輪とした施策を推進しています。本年で大綱策定後3年が経過することから、施策の進捗状況を確認することとしており、関係省庁とも連携して認知症施策のより一層の充実に努めてまいります。
また、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる認知症バリアフリー社会を実現していくためには、官民挙げての取組が不可欠になります。このため、例えば、経済団体や医療・福祉団体等からなる「日本認知症官民協議会」の枠組みを活かし、買い物、銀行での手続きなどの各場面での認知症の方への接遇方法に関する「認知症バリアフリー社会実現のための手引き」を作成し、その普及を図っていただいています。さらに、本年3月には、認知症バリアフリーの取組を適切に行っている企業等を公表する「認知症バリアフリー宣言制度」も開始されました。
引き続き、認知症バリアフリー社会の実現に向けて、「認知症の人と家族の会」をはじめとする関係者、関係団体等の皆様の御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
なお、「世界アルツハイマーデー」のイベントについては、過去2年間と同様に、新型コロナウイルス感染拡大防止への御配慮もいただきながら、全国各地で実施されると伺っております。皆様の御尽力が国民一人ひとりの認知症への関心を一層高めるとともに、正しい理解を深めていただくきっかけとなることを心から期待しております。
最後に、認知症の方とその家族の皆様方の御多幸と、「認知症の人と家族の会」をはじめとした関係団体の皆様の益々の御発展を祈念して、私のお祝いの言葉といたします。
厚生労働大臣 後藤 茂之
※大臣名は2022年6月末現在