「福祉の充実」、「安心の保障」が解決の道

「福祉の充実」、「安心の保障」が解決の道

社会保障を巡る議論に望むこと

田部井康夫
(「家族の会」理事、介護保険・社会保障専門委員会委員長)

●消費税増税の決定

「社会保障と税の一体改革」の名の下で、消費税をまず8%、やがて10%に引き上げることが決まりました。しかし、反対の声も強く、賛成した人でも、社会保障の水準を切り下げられては困る、でも国の財政再建も大事だ、その両立のためにはやむを得ない、との思いの人が多かったのではないでしょうか。その思いを形にすることが、「社会保障と税の一体改革」の本質であったはずです。

●自民党政権の再登場

昨年、総選挙があり、自民党、公明党が多くの議席を獲得し、政権復帰を果たしました。その自公政権は、社会保障のあり方を議論する社会保障改革国民会議の結論が出ないうちに、早くも、生活保護費削減の方針を発表しました。また、その経済政策を見ると、消費税増税の大きな目的であった財政再建など眼中に無いかのような政権運営が目立ちます。このままでは、「社会保障と税の一体改革」とは何だったのか、何のための消費税増税だったのかと思わざるを得ません。

●国民会議等の議論に望むこと

こうした状況の下で、国民会議や社会保障審議会の議論が進んでいます。消費税増税という新たな負担が決定された今、私たちには、社会保障のあり方について発言する権利と義務があります。
消費税増税に加えて、社会保障、とりわけ介護・福祉の水準が切り下げられることを到底容認することはできません。「家族の会」は、今後の介護保険制度の行方を左右する象徴的な項目として、以下の3点を強く要望します。

1◦ 要支援、要介護1、2の人を介護保険の対象からはずさない

2◦ 介護サービスの利用者負担割合を引き上げない

3◦ 介護支援専門員の介護報酬に利用者負担を導入しないこれらの項目すら守れないようでは、政治と国民との信頼関係は再び損なわれることになります。信頼関係を取り戻し、さらに制度の充実を目指さなければなりません。「家族の会」が目指す制度の方向性は一貫しています。


一◦ 必要なサービスを、誰でも、いつでも、どこでも、利用できる制度

二 わかりやすい簡潔な制度

三◦ 財源を制度の充実のために有効に活用する制度

四◦ 必要な財源を、政府、自治体が公的な責任において確保する制度

●発想の転換を

政権交代による表面的な明るさにもかかわらず、困難の本質はなんら変わっていません。困難を乗り越えるには、経済成長がなければ福祉は充実できないという考えから、福祉を充実させ安心を保障することこそが、経済の健全な活性化をもたらすという考えへの発想の転換が必要です。
「家族の会」は、安心を保障する福祉を実現するために、「応分の負担」(力に応じた負担)の考え方を打ち出しています。むしろ、積極的に負担したいと思えるような施策を求めて、今後の議論に積極的に参加していきます。

「ぽ〜れぽ〜れ」通巻391号(2013年2月25日発行)より

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