どうするつもりか介護保険=改正の動きレポート#32【介護保険部会編 号外その2】
介護保険・社会保障専門委員会
はじめに ~オンライン署名に、コメントが続いています~
9月21日の「世界アルツハイマーデー」から、「家族の会」は署名活動を行っています。
9月26日の厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(「部会」)に、次期(第9期)の介護保険法改正に関する検討課題の一つである「給付と負担」についての資料が「給付と負担に関する指摘事項について」という形で示されました。https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000992849.pdf
各項目に対するこれまで、「部会」や内閣府の「全世代型社会保障構築会議」、財務省の「財政制度等審議会」などの意見を整理したものです。中でもこれまでの「法改正」で、最も影響力の大きい「財政制度等審議会」が今年の5月25日に出した「提言」には、該当項目について以下のように書かれています。
- 介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図る
- 9期介護保険事業計画期間から、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきである
- 介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室については、室料相当額について、第9期介護保険事業計画期間から、基本サービス費等から除外する見直しを行うべきである
- 要介護1・2への訪問介護・通所介護についても地域支援事業への移行を検討すべきである
私たちの署名活動は、この4項目 が現実化する動きを止めるために行っています。
この年末には、答申が出され、「改正案」は年明けの通常国会に出されるのが通例です。
「答申」案がまとめられるまでに、私たちの声を社会に訴え、「部会」の委員の皆さんにも届けたいと考えています。
署名活動で、厚生労働大臣に要望するのは次の4項目です。
- 介護保険の自己負担を原則2割負担にしないこと
- 要介護1・2の訪問介護・通所介護を地域支援事業に移行しないこと
- ケアマネジメントの利用者負担導入(ケアプラン作成の有料化)をしないこと
- 介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院の多床室(相部屋)室料負担を新設しないこと
署名活動は「用紙」と「オンライン署名」を併用して行っています。
ここでは、オンライン署名に寄せられた「コメント」の主なものを紹介して、「次期改正案」を国民がどのように受け止めているかを知っていただきたいと思います。
前号に続いて届けられた「コメント」をご紹介します
介護家族と思われる方々から
- 認知症の親をフルタイムで一人で看ています。現状でさえ、目一杯です。これ以上首を絞められたら本当にやっていかれません。本来ならサービスの範囲を広くしてもらいたいのに。散々、働いてきて老後にこんなに苦しまないとならない日本の社会、おかしくないですか?
- 介護経験者として断固反対します。ただでさえ精神的、体力的な負担が大きい介護、経済的な不安が軽減されるのは安心感が違います。
- 国民年金の母です。2割負担ではオムツ代も嵩み、生活費に困ります。わずかな課税世帯のため、今以上の負担ではサービス利用を減らすことにもなります。介護2です。認知症を抱えながらの家庭での負担がさらにひっ迫することになり、介護申請することもためらうことになりかねません。
- 家族を介護中です要介護2です、リハビリで身体がかなり元気になってきました逆に困ることが増えました。認知症あるあるです。ここで専門家の介護を受けることが減れば、本人も家族も不幸になります、反対署名します
- 年金生活で要介護の家族を抱えて、ただでさえ出費の多い生活を更に締め付けるとは、こんなひどい流れは何としても阻止しなければなりません!
- ただでさえ介護認定は厳しくなっています。昔と違い介護1、2は決して軽症ではないのです。介護をしながら働く世代の大変さを理解できない政治家や官僚にはうんざりです。そんなに弱者を自死に追い込みたいのでしょうか。政治家と官僚は弱者を日本国民と思っていないのでしょうか。そんなに高齢者を否定するなら、映画の「PLAN75」な制度を作ればいい!それは倫理的になどと言っているけれど、介護保険や年金制度の改悪は政治家や官僚による間接的な介護を必要とする人と家族への自殺幇助です。
- 家族の介護で痛感しました。認知症は長い道のり。一人ひとりに見合った社会的専門的サポートが欠かせないこと。その支えがあってこそ、本人も家族も安心してゆたかに生きられるのです。こうした負担増·給付減の改定は、あまりにも現実を無視しています。これでは生活が破壊。生きる権利としての介護保険制度充実を心から望みます。
【介護保険制度の変わり方】に関して
- 今まで保険料を払わされて、今になって利用できづらいのは、酷すぎます。
- 介護従事者です。今回の介護保険の改定案は社会の介護離職率を上げ、介護事業者の経営を圧迫し、次々と閉鎖せざるを得ない状況に陥ってしまう事が暗に予測できる物です。断固反対!
- 介護保険は富の逆配分の制度になってしまっています。これ以上の改悪は許せません。お金の心配なく誰もが必要なサービスを受けられる社会を目指して。
【介護保険の自己負担を原則2割負担】 に関して
- 介護を業者に任せてその間、自分は他の仕事ができるというのが、個人にとっても社会にとっても良いのは明らかだ。介護費の自己負担増は、身内の共倒れにしか繋がらない。自分の仕事ができず、ただ消耗していくだけだ。
- デイサービスや訪問介護の利用料が2倍3倍になったら、それこそ地域で見るどころではなくなります!!断固反対!消費税の社会保障費への分配適正化を!!
- 自己負担2割になれば、介護施設の費用が年金では間に合わなくなるので、生活保護を検討するしかありません。結局国が負担する費用が増えるだけです。
【要介護1・2の訪問介護・通所介護を地域支援事業に移行】に関して
- 軽度者を保険から外し、サービスを使いにくくすれば、介護予防ができず、重症化を早めるだけです。
【ケアマネジメントの利用者負担導入(ケアプラン作成の有料化)】に関して
- ケアマネをしていますが、お金のない高齢者は、介護が受けられなくなります。絶対に反対です。
消費税への疑問
- 消費税を上げる時に社会保障の充実と掲げてましたが裏切りですね。これ以上介護難民を増やして日本全体を衰退させようと?政治家には失望しかありません。
その他の切実な思い
- 子供世帯にとっても死活本題です。生存権の侵害です。考え直してください!
- 最近、ヤングケアラーという言葉を聞くけど、そもそも、そのヤングケアラーを生み出してるのは政府でないか?「ヤングケアラーを支援亅ではない。そもそも、ヤングケアラーなんて作り出さない社会であるべきなのだ。
- これがないと生きられない人や、働けない家族はどうなるのか。
- 「親御さんの面倒は国が見ますから、安心してご自分のことに集中してください。」そう言ってあげるのも、「若者支援」だと思うけど?
- 介護は誰でも受けられるもの。生きる権利だと思います。
オンライン署名は、10月21日現在、42,070筆を数えるまでになりました。
ここには掲載しきれない「コメント」も多くあります。厚生労働大臣に「署名簿」を提出する際には、これらのコメントも一緒に届けたいと考えています。
「給付と負担」を議題とする2回目の審議が、10月31日に行われます。
このテーマでは、ようやく本格的な審議となります。その後12月には事務局による「答申」のためのとりまとめが行われます。このとりまとめ過程では、財務省などとのすり合わせが想定されます。このとりまとめに対して、署名活動の結果や寄せられた「生の声」を届けるなど、私たちの思いを次期改正案作りに反映させていきたいと考えています。
署名活動は11月末にまとめることにしていますので、より一層のご協力をお願いいたします。オンライン署名だけではなく、署名用紙によるものにもご協力いただきたいと思います。
当ホームページから、署名用紙はダウンロードできますし、用紙が封筒を兼ねていますので、そのまま投函していただければ当会に届きます。最後まであきらめずに声を挙げていきたいと思います。
(脚注・まとめの文責 鎌田晴之)