総会アピール 2023を発表
「家族の会」では、2023年6月10日に総会を開催し、「総会アピール」を発表しました。
感染の危機を乗り越え、広く認知症への理解とケアの充実を希求する ~社会保障の抑制ではなく、生活の安心・希望につながる道を~
2023年6月10日
公益社団法人 認知症の人と家族の会 総会参加者一同
本日、私たちは、すべての都道府県から154名の代議員が参加して総会を開催しました。5月には新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行され、人と人とが不安なく会い、交流するというあたり前の生活が戻りつつあります。他方、今もなお、医療・介護サービスでは命と暮らしの安心安全を守るために奮闘し続けている皆さまに、心から感謝とエールを送ります。
3年に及んだコロナ禍は、認知症の人とその家族の心やからだ、生活に大きな影響を与えました。私たちは、こうした厳しい環境の中においても、励ましあい助けあうピアサポートとともに、当事者の声を社会に発信し、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を求め続けてきました。
そのような中、物価高、生活苦に追い打ちをかける、介護保険の負担増と給付削減の改正案が示されました。私たちは介護保険が使いたくても使えない制度になる強い危機感から、これらの改正案に断固反対し、社会保障審議会で意見を述べ、さらに市町村にも働きかけました。併せて署名活動を展開し、その結果、世論を動かし、目標の8万筆を大きく上回る 11 万筆を集め、「要介護 1、2 の訪問介護、通所介護の地域支援事業への移行」と「ケアマネジメントの有料化」については、2026年まで実施の先送り、再検討となりました。しかし、社会保障の抑制という流れが加速する中で、これから介護のある暮らしがどうなるのか、私たちの不安は増すばかりです。
今、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の成立や、認知症の原因に作用する新薬の承認などが期待されています。認知症ではないかと不安を覚えた時から、診断され、介護が必要になっても、誰もが安心して相談でき支援が受けられるしくみが、公的に保障されねばなりません。
私たちは、介護と仕事の両立に悩む現役世代や将来の生活に不安を抱いている若い世代の人たちなどとも、今まで以上につながり、不安や悩みを共有し、知恵を出し合って、当事者主体の制度や施策づくりに参画することで、安心して生活できる社会保障の推進を求めていきます。
認知症の種類や発症年齢、家族構成、世代など認知症にかかわる状況に関心を持ち、認知症の人、認知症ケアの多様性をふまえ、ひとり一人の人権が尊重され、誰ひとり取り残さない社会の寛容さと理解を広げてゆけるよう、これからも活動していきます。
以上