鎌田松代代表の日日是好日-2024年5月

<2024年5月号掲載>鎌田松代代表が、活動の中での出来事をお届けします。

本部電話相談員月例会―相談者の「私の話を聴いてほしい」に応えるために―

1.年間3,000件の相談


京都の本部事務局でのフリーダイヤルの電話相談は毎日約16 件、2 名の相談員が受けています。この電話相談は2000 年から始まり、住友生命保険相互会社からの助成を受け運営しています。相談員は京都・滋賀・奈良・大阪などの近畿各支部の方々です。

2019 年の新規電話相談の内容をエーザイ㈱と共同で分析しました。結果はこの電話相談をはじめたころに多かった、認知症の人への介護方法や介護保険制度などのサービス利用から、最近は精神的支援を求めた相談が増えています。

2.50歳代・独身・無職男性介護者

本部電話相談員月例会は毎月月初めにハイブリッドで開催しています(研修会開催月は休会)。月例会の内容は事務局からのその時々のトピックスの情報提供、相談員からの情報提供やみんなと対応を相談したい相談内容、本部会報の「“ つどい” は知恵の宝庫」の対応内容についての検討です。毎月20 名以上の相談員が出席してくださいます。

4 月11 日の月例会では令和5 年度老健事業「認知症の人や家族のピアサポートの活動促進に関する調査研究事業」の結果報告。2023 年1 月初回相談でリピーターの実親介護者中の男性への対応、相談員から対応に苦慮している「50 歳代・独身・無職男性介護者」の介護や社会背景などについて話し合いました。

3.対話が介護の力に

実親介護中の男性については、相談を受けた出席相談員から状況や対応や悩んだことなどを聞きました。相談員の対応についてプレッシャーをかけてこられる場面も多くあり、相談員は悩んでいます。複数の相談員から状況や対応を聴いていく中で、相談者の真の悩みや対応が見えてきます。相談内容はほぼ同じで別の機関や事業所にも相談しています。でも当会の電話相談に何度も電話してくるのは「私の話を、介護を体験した人が聴いてくれる安心感がある」機関だからではないか。「聴いてほしい」の心に沿う形で統一した対応を決めました。

最近多い「50 歳代・独身・無職男性介護者」については1 時間以上話し合いました。無職である経済面も話題になりました。介護中は親の年金・貯蓄がありまた介護サービスの人との交流があります。しかし、介護が終わってからは経済面や社会との接点が大きく減り、経済での困窮や社会からの孤立は明らかです。また子どもに介護して欲しいかも話題なりました。子どもには介護して欲しくない。自分の人生を歩んでほしいのが親の望みが多かった中で、実母介護の相談員で「元気な頃は子どもには看てもらわないが、要介護状態の時には看てほしい」と180 度変化した体験談の意見もありました。「介護が終わったら仕事」と助言するかも悩みでした。

当会の電話相談で社会とつながり、話を聴いてもらうことで心の平静を得て介護を継続されているので、助言より傾聴と共感の姿勢で相談にあたることとし閉会しました。

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