介護保険ニュース#15

今回は、第113回社会保障審議会介護保険部会(2024/7/8)の内容を公開されたYouTubeによるライブ配信内容を要約してお伝えしています。

介護保険・社会保障専門委員会 和田 誠

第113回社会保障審議会介護保険部会(2024/7/8)の要約メモです。
介護情報基盤の整備と介護保険被保険者証のペーパーレス化について議論するものでした。主な話題は以下の通りです。

介護情報基盤の目的は、介護情報を電子的に共有することで業務の効率化と介護サービスの質の向上を図ることです。

介護情報基盤では、要介護認定情報、ケアプラン情報、利用者情報などを共有できるようになります。利用者はマイナポータルから自身の介護情報を閲覧できます。自治体、介護事業所、医療機関は介護情報基盤から情報を閲覧・登録できます。

主な検討課題は、本人同意の取得方法、情報セキュリティ対策、介護保険被保険者証のペーパーレス化の具体的な方法などです。本人同意が得られない場合の対応、同意の法的位置づけ、情報セキュリティのガイドライン作成なども議論されました。介護保険被保険者証のペーパーレス化については、マイナンバーカードを活用し、紙の被保険者証に記載された情報を電子的に共有する方向性が示されました。ただし、マイナンバーカードを持たない高齢者への配慮が必要であるとの指摘がありました。システム改修の負担軽減策や財政支援、スケジュールなどについても議論されました。2026年度以降の全国展開に向けて、2023年度中に検討を深め、2024年度からシステム開発、2026年度以降に順次実施する予定です。

次に、「地域共生社会の実現に向けた検討会議の設置」について報告がありました。地域共生社会の概念や、検討事項、構成員、今後のスケジュールなどが説明されました。
委員からは、地域共生社会の概念の定義や、分野横断的な取り組みの重要性、自治体間の格差への対応、財政的な課題などについて様々な意見が出されました。また、2号被保険者の介護保険料率のあり方についても議論がありました。

審議の内容

1.【介護情報基盤の概要】
 介護情報基盤は、自治体、利用者、介護事業所、医療機関などが利用者の介護情報を電子的に閲覧・共有できる情報基盤です。要介護認定情報、ケアプラン情報、利用者情報などを共有できます。利用者はマイナポータルから自身の情報を閲覧できます。目的は業務の効率化と介護サービスの質の向上です。

  【本人同意の取得と情報セキュリティ対策】
 介護事業所が利用者情報を閲覧するには本人の同意が必要です。本人同意の取得方法、同意が得られない場合の対応、同意の法的位置づけなどが検討課題となっています。情報セキュリティ対策として、介護事業所向けのガイドラインを作成する方向です。介護事業所ではインターネット回線経由でアクセスし、端末管理やアクセス権限管理などの対策を行う予定です。

  介護保険被保険者証のペーパーレス化
 介護保険被保険者証の情報を電子化し、マイナンバーカードを活用してペーパーレス化する方向性が示されました。被保険者証に記載の情報を介護情報基盤に格納し、マイナンバーカードでサービス利用時に確認できるようにします。ただし、マイナンバーカードを持たない高齢者への配慮が必要であり、資格確認書の交付なども検討課題となっています。事業者への支援策や業務フローの見直しも必要です。

  【今後のスケジュールと対応】
 介護情報基盤の施行に向けて、2023年度中に検討を深め、2024年度からシステム開発を行います。2026年度以降に順次全国展開する予定です。国は自治体のシステム改修を支援し、早期の情報提供を行います。自治体と介護事業所は、インターネット環境整備、端末準備、セキュリティ対策などの準備が必要となります。財政支援策の検討や、現場への丁寧な説明と理解の促進が重要となります。

2.【地域共生社会のあり方検討会議の概要説明】
 社会援護局で新たに立ち上げられた「地域共生社会のあり方検討会議」の概要が説明されました。地域共生社会の実現に向けた取り組みについて、平成29年と令和2年の社会福祉法改正を受けて進められており、今回の検討会はその施行状況を検討するものです。検討事項は、地域共生社会の実現に向けた方策、身寄りのない高齢者等への対応と多分野連携、成年後見制度の見直しと権利擁護支援策の充実の3点です。構成員には菊地部会長も入っています。今年度末に中間的な論点整理を行い、来年の夏に取りまとめを行う予定です。

  【地域共生社会の概念に関する議論】
 委員から、地域共生社会の概念について、省庁や法律によって定義が異なるため、統一的な視点での表現が必要ではないかという指摘がありました。また、本人同意や成年後見制度などの論点も指摘されました。自治体間の取り組みの格差への対応や、企業などの巻き込みの必要性についても意見が出されました。認知症や障害の程度によって支援のあり方が異なることから、そのあたりの区分けが重要であるという指摘もありました。

  【財政的な課題に関する議論】
 重層的支援体制整備事業の財源について、介護保険料が活用される可能性があるのか質問がありました。事務局からは、介護保険対象者への支援が含まれているため、そうした議論が必要になれば関係者と協議するという回答がありました。また、市町村を単位とした取り組みの持続可能性や、広域連携の必要性についても指摘がありました。

※※【2号被保険者の介護保険料率に関する議論】※※※※※※※※※※※※※※※※※
 2号被保険者の介護保険料率のあり方について、国が一定の率を示すことで透明性と納得性を高める必要があるという意見が出されました。子ども子育て支援金制度の創設を契機に、介護保険料率の設定についても一定の整理を行うことが検討されているとの報告がありました。健保組合の令和7年度予算編成に向けて、国から参考となる率の提示などの対応を求める要望がありました。


【行動項目】

1・

・介護情報基盤で共有する情報と利活用方法について、利用者や関係者に分かりやすく説明、理解を得る

・本人同意の取得方法や同意が得られない場合の対応、同意の法的位置づけについて、現場の意見を踏まえて慎重に検討する

・介護事業所向けの情報セキュリティガイドラインを作成する

・介護保険被保険者証のペーパーレス化に向けて、マイナンバーカードを持たない高齢者への配慮策を検討する

・介護情報基盤の整備に係る自治体や事業者の負担軽減策と財政支援策を検討する

・2024年度からシステム開発に着手する

・介護情報基盤の施行に向けて、自治体と事業者に対する丁寧な説明と理解促進を図る

2.

・地域共生社会の概念について、統一的な定義を検討する

・自治体間の取り組みの格差への対応策を検討する

・企業などの地域共生社会への巻き込み方を検討する

・認知症や障害の程度に応じた支援のあり方を検討する

・重層的支援体制整備事業の財源のあり方について、関係者と協議する

・市町村を単位とした取り組みの持続可能性と広域連携のあり方を検討する

・2号被保険者の介護保険料率設定について、国から一定の率の提示などの対応を求める

 

 

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