鎌田松代代表の日日是好日-2024年7月
<2024年7月号掲載>鎌田松代代表が、活動の中での出来事をお届けします。
ボケてきてわからない? 明日の朝もう一度考えます
1.義母のメモ
今年10月には99歳の白寿を迎える要介護3の義母は、グルームホームで暮らし9 年目。コロナ禍での面会制限が緩和され、4 年間で溜まっていた荷物を整理しました。その中に写真のようなメモ帳などに、日々の義母の不安が日課に記されていました。「忘れるから紙に書いておく」が口癖の義母です。
この会報で義母と同じような内容のメモを読みました。しかし目の当たりに見る義母の言葉は衝撃でした。このメモを書いた頃は昼・夜中・早朝と何度も私宅に電話をかけていました。「私は監禁されている」と交番に、紙飛行機に「助けてください」と書いて窓から飛ばしていました。応援依頼があり面会した時は怒って杖でたたかれました。わからなくなっていく混乱と不安と怒りの中で暮らしていたのでした。本人の気持ちなんてわかっていなかった嫁・専門職でした。義母の気持ちを思うと涙です。
2. 何故こんな目にあわすのですか(義母のメモより)
- 光治は何をしているのか。ダメです。親を押し込めています。強制されるのですか。
- これよりねます。ボケない様に祈っています。
- 十四軒町の家に住んで居る。只今午前5時27分です。早く家に帰りたい。どうすればよいか? 午後7時36分です。光治のデンワ番号をきいておくこと。
- 今日はどうしてここに来ましたか。わからない、ボケてます。明日はどうすればよいか?
- 笹屋町の家に帰ってみることです。ボケてきました。
3.「家に帰ってみることです」の意味
自宅なのに「家に帰る」の、その家は生まれ育った家であり父・母、きょうだいがいる。若い時のテレビや電話機、幼い子ども、夫がいるところでしょう。自身の原点である家に帰れば、元に戻る安心と考え抜いた、必死の思いがあるように思えます。
行動には意味がある。落ち着く場・役割のある場にしたいと家族も施設も思い本人の居心地のいい環境を整えています。しかし、思い描く場にはなってはいないから、「家に帰る」。本人の思い描く場とのすり合わせは難しい。