鎌田松代代表の日日是好日-2024年8月

<2024年7月号掲載>鎌田松代代表が、活動の中での出来事をお届けします。

認知症の人からのメッセージを受け取る・つなぐ

1.治療は生きる希望

広島県支部で開催された第43 回家族の会 大会・講演会「若年性認知症・希望へ一歩」に参加しました。

 松本一生先生の「ともに歩む若年性認知症」の基調講演のあと、シンポジウム「認知症になっても安心して暮らせる社会を」をテーマにシンポジストの若年性認知症の方がトップで話されました。受診のきっかけは仕事での今まではあり得なかったミスの連続。妻が認知症専門医を探し受診し認知症の診断。「ショックだった」。悩み・迷ったが職場に相談し、配置転換での就労継続の配慮で現在も働き続けておられました。
 妻は気持ちが沈んでいる夫を案じ、広島県支部の「陽溜まりの会注」を紹介しましたが「そんなところには行かない」と始めは拒否されていましたが、妻の勧めもあり「一回だけ参加」。同じ病の人と話せ、またサポートする専門職、支部世話人と出会い毎回参加するようになり、講演会で本人からのメッセージを講演するようになったとのことでした。
 当事者との出会い、サポートする人達のあたたかさ、適切な相談対応、心配りのある“ つどい”運営が前向きになられたように講演を聴き思いました。
 最後に現在レカネマブでの治療を受けているとのことでした。そのお話をされる表情は生き生きと輝き、この疾患修飾薬がより前向きに生きる希望になっていることを実感しました。

(注)広島県支部は若年性認知症の家族からの相談から、2004年より若年性認知症に特化した“ つどい”「陽溜まりの会」を開催。全国の支部は、本人と家族がピアサポートの力で、元気になっていかれることを学び「全国陽溜まり活動」と称し若年性認知症や本人の“ つどい” が拡がり現在は30 支部以上が若年や本人の“ つ
どい” 開催しています。

第43 回家族の会 大会・講演会の集合写真

2. 前向きに生きるために必要なこと

 京都府認知症応援大使、84 歳の鈴木貴美江さんの講演を聴きました。読み上げられる原稿には診断後、落ち込み家に引きこもっていた時の気持ちが選び抜かれた言葉で語られ涙しました。主治医の声かけで外に再度出ようと思いたったエピソード。伴走者の一言は、認知症と向き合うきっかけになっていました。2023 年度の当会が老健事業で調査した「認知症診断直後からの本人やその家族へのピアサポート活動実態調査事業」でも寄り添う人の重要性がありました。84 歳にして自転車乗車にトライした、思いの実現の動画は感動でした。
 「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では国民の責務として認知症や認知症のその人を正しく理解していくことを明記しています。そこにはその人とのこれまでの関係性はそのままにでも認知症に関しての心配りのある付き合いがありました。これからの地域社会に求められる人の関係性や病気の理解であり、このようなことが広がるような活動を進めたいと思いました。

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