徘徊する母に付き添うため、兄は仕事を辞めましたが、介護に限界を感じています。
全国の支部で行われている家族の「つどい」。その中で出てきたいろいろな悩み。その悩みに応える形で、介護初心者の悩みにお答えします。会報ぽ~れぽ~れの人気記事の抜粋です。
■徘徊する母に付き添うため、兄は仕事を辞めましたが、介護に限界を感じています。
母は私たちを育てるために飲食店を営んでいましたが、慣れた道でも迷うようになりました。徘徊も日増しにひどくなり、タクシーで元の自分の店に行ったりします。退職して介護している兄も困り果てて、妹の私に助けてほしいと電話をかけてきます。介護認定を受けデイサービスの利用を計画しましたが行きたがらなく、介護サービスにも馴染めそうにありません。兄は家での介護に限界を感じていますが、どうしたらよいでしょうか。 (相談者:40 歳、長女)
世話人A:様子を見に行って兄妹の協力体制を話し合って 一人で介護を引き受けているお兄さんがあなたに応援を求めているのですから、まず、お母さんとお兄さんの様子を見に行くことが必要です。介護はこれからもっと大変になることも考えられます。今のうちに兄弟での協力体制を話し合っておくことが大切だと思います。
介護経験者:お兄さんも自分の時間を大切に 家族が全面的に介護するとストレスがたまり、介護する方はもちろん、介護される方にとってもよくない状況になります。私も仕事を辞めて介護に没頭しましたが、今になって後悔しています。お兄さんも一部は専門家に任せて、自分の人生を歩いてもらってください。
世話人B:サービスの利用、最初は難しいものです 最初は、デイサービスに行きたがらないことが多いものです。
うちの母も拒否が強く、諦めかけていましたが、スタッフの方があの手この手で誘ってくださってやっと出かけるようになりました。今では日課になり、本人もすっかり楽しんでいるようです。スタッフの方にお母さんの状況や生活歴などを話して協力してもらったらいかがでしょう。飲食店をなさっていたとのこと、デイサービスも食事やお茶の時間の手伝いということならうまくいくかもしれませんね。
男性介護者:お兄さんに男性介護者の集まりを紹介されては? 仕事を辞めてたった一人で介護しているお兄さんの負担は相当なものだと思います。男性介護者ならではの悩みもあることと思います。「家族の会」の中に男性介護者の“つどい”があるのでお兄さんに参加を勧めてみてはいかがでしょう。
施設職員:お母さんの意志や力を尊重して お母さんの意思や力を無視して周囲の人たちが、がんじがらめにしてはいませんか? できることもたくさんあるはずです。毎日の暮らしの中で何かお母さんの役割を決め、存在を認めて感謝する場面をつくることで安定されることもあると思います。
介護支援専門員:お母さんやお兄さんの経済的なことは 介護を続けていくためには、制度について知っておくことが大きな力になります。お兄さんと一緒に、経済的なことも含めて、最寄りの役所の高齢福祉課などに行っていろいろ聞いてこられるとよいでしょう。