改定の撤回を求める要望書を提出

2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書を提出しました

「家族の会」では、2015年末から各支部を通じて昨年4 月からの介護保険制度、介護報酬改定の影響について利用者、家族への影響調査アンケートを実施し、その結果、費用負担やサービス利用について重大な影響が起こっていることが明らかになりました。
これらは、「家族の会」が一昨年の法律改定にあたり、初めての署名に取り組んで反対したことが正当であったことを証明するものでもありました。そのため、「家族の会」は支部の意見も聞いたうえで、別紙の、「2015 年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書」を厚生労働大臣あてに提出しました。
提出は、2016年4 月22 日午後、田部井康夫副代表、花俣ふみ代、長谷川和世理事、東京都支部大野教子代表が、厚生労働省で、三浦公嗣老健局長、水谷忠由認知症施策推進室長に手渡しました(写真。左が三浦老健局長)。

三浦局長は、「財政が厳しい中で何を重視して進めるか考えている。当事者の声は参考になるので大いに意見を言ってほしい」と述べました。これに対して田部井副代表は、「財政が厳しいからと言っても、今回の費用負担の増加はあまりにも苛酷だ」と要望書提出の理由を述べました。

なお、「家族の会」としては6 月の総会以降に、現状を踏まえた上での、新しい要望書を厚生労働大臣に提出することを検討しています。

PDFでご覧いただけます。 2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書

2016422

厚生労働大臣 塩崎 恭久 様 

公益社団法人 認知症の人と家族の会

代表理事 髙 見 国 生

2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書

認知症の人と家族の会では、2015 年に行われた介護保険改定にともなう影響調査を、各支部を通じて該当者に行ったところ、200を超える回答が寄せられました。

その結果、改定前から危惧していた事態が起きていることが明らかになりました。下記は会員からの声の一部です。

「このままどんどん負担が増えると、生活が成り立たなくなる」

「消費税を増税しておきながら、実際には負担が増え、サービスも低下している」

「今回の改定は、介護を続ける気力さえ失わせるもの」

年金で、つましくやりくりしているものにとって、厳しい改定でとても残念だ」

「財政難の名のもとの介護保険制度の改悪ばかりで、国民は不安しかない」

「要介護1でも、特別養護老人ホームに入所できる制度に戻してほしい。本人や家族が死を選ぶことのないようにしてほしい」

これらの声から、介護報酬引き下げによって、認知症の人が多く利用している小規模事業所などの経営状況が悪化し、事業の縮小や廃業という事態も生じていることが分かります。そのため使い慣れた事業所から閉鎖を告げられ、当惑しているとの声も寄せられています。また要介護1、2の方が特別養護老人ホームへの入所の望みを絶たれ、途方に暮れている状況も見えてきています。

さらに利用料の2割への引き上げや補足給付の厳格化によって、毎月の介護費用が510万円も増えています。コツコツ貯めてきた老後の介護資金もみるみる減り、どのように家計をやりくりしても介護を全うできないので、やむなく施設を退所せざるを得なくなったという悲痛な声もあがってきています。これら当事者の切実な声は、決して特別の事例ではありません。

このような苛酷な実態は、改定を進めた厚生労働省としても想定外の事態ではないでしょうか。このような状況に鑑み、下記のように2015年の改定を撤回し元に戻すように要望します。

<要望項目>

1 要支援の人に対する訪問介護、通所介護を介護保険から外すことを撤回し、引き続き介護保険の給付の対象とする

2 利用料の2割負担(年金収入280万円以上)への引き上げを撤回する

3 特別養護老人ホーム入所対象者を要介護3以上に限定しない

4 施設入所者の食費・部屋代補助(補足給付)の要件を20157月以前に戻す

以上

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