アチキ
アチキは朝からわからないことばかりでつかれはてていました。そのうえ、風で大きくゆれる木の枝葉がアチキにはおそいかかってくるように見えます。鳥の鳴き声は悲鳴のように聞こえます。どんどん暗くなる空と、さまざまな音やかげがアチキをおそいます。
歩いている道がどこなのかわからなくなり、こわさと不安で頭の中がぐちゃぐちゃになります。「家に帰るんだよ」と言うふきげんなコチキに、本当は自分をどこかへ連れて行くのではないかとうたがいはじめます。
つかれと不安とこわさからもう一歩も歩けなくなるアチキ。
コチキに「早く帰ろう」と手を引っぱられ、強い力で引っぱられたように感じます。不安がふくらみ、コチキをうたがう気持ちがますます大きくなり、「この道じゃ家に帰れない!」「つかれてるんだ、早く家に帰りたい!」とうったえます。
コチキに「もう少しで家に着くよ!あとちょっと!」と言われますが、なんだかまだモヤモヤは晴れません。
コチキ
アチキをさがし回ってせっかく見つけたのに、どなってこわがらせてしまい、自分を責める気持ちから、ますますつかれてしまいます。
夕方になり不安がるアチキの様子に早く家に帰らなければと思いますが、思うようにいきません。
いつもの道なのに「こんな道知らない!」と言われ、家に帰ろうとしているのに、「どこへ連れて行く気だ!」と言わます。加えて、差しのべた手に「引っぱらないでよ!」と言われ、なさけないやら、腹が立つやら、コチキはほとほとつかれはててしまいます。
それでも、「家に帰りたいだけなのに、どうしてわかってくれないんだ!」とうったえるアチキをなだめながら、少しずつ歩き、ようやく家が見えてきました。最後の力をふりしぼって、「もう少しで家に着くよ!あとちょっと!」とアチキをはげまします。
なんとか家にたどり着いたアチキとコチキ。ホッとしたのでしょう、
リビングにへたりこんでしまいました。
そのまま夢の中へ・・・
夕飯も食べずに朝までぐっすりのアチキとコチキでした。