指導者の方へ

本サイトは、認知症について、一人で学ぶことができますが、
人権教育や福祉教育としての「認知症について学ぶ学習」がより拡がるために、
総合的な学習の時間や道徳の時間をはじめ、様々な授業での活用も期待して作成しています。
「認知症について学ぶ学習」は、現在、全国の学校で行われています。


指導者の方へ

本サイトは、これからの社会を担う中学生が、認知症を知るきっかけになるよう制作したものです。生徒が自分たちで考え、学べるように次の工夫を行っています。

  • 日常生活で、認知症の人と家族の関わりで起こりうる場面を設定しています。
  • 認知症の知識や、認知症の人への対応を自身で考えられるような解説やさらに理解を進めてもらうためのキーワードが盛り込まれています。

本サイトから学んで、認知症の人やその家族に対して自分ができることは何だろうと思う気持ちが起こり、行動につながること、思いやりのある人になることを願い、作成しました。「認知症の人と家族の会」は「認知症になっても安心して暮らせる社会」「認知症とともに生きる社会」を目指して活動しています。そのような社会づくりに、子どもたちも一緒に参加してほしいと願っています。


本サイトを利用される学校の先生方へ

本サイトは、認知症について一人でも学ぶことができますが、人権教育や福祉教育としての「認知症について学ぶ学習」がより拡がるために、総合的な学習の時間や道徳の時間をはじめ、学校でのさまざまな授業、地域での集まりでの活用も期待して作成しています。

「認知症について学ぶ学習」は、現在、全国の学校で行われています。学校の先生による授業だけでなく、地域包括支援センターや認知症キャラバン・メイトの方々と連携した授業をされるなど、さまざまな形態の授業が展開されています。

本サイトを授業の導入・展開・結末などの、授業を展開する中で活用していただければ幸いです。また、全国の学校で本サイトを使った交流を行いたいと思いますので、貴校での実践を「認知症の人と家族の会」までお寄せください。

なお、下記の「学習のおおまかな流れ」は、本サイトを使用した授業の一例です。

学習のおおまかな流れ


学習内容及び学習活動指導上の留意点資料・準備

1 本時のめあてを知る。

認知症について学び、私たちができることを考える。

  • 認知症についての基礎的な知識を確認する。
  • 小学校での既習事項の確認

タブレット


パターン1パターン2

*自分の体験とアチキ・コチキの体験との重なりについての気づきを確認する。

*ロールプレイングなど、生徒がそれぞれの立場のセリフを読み合わせて、理解をすすめるのもよい。

*意見が出ない場合は班になって、話し合う。

*ワークシートを使い、各話ごとに、感想を整理させる。

*残りの体験シミュレーションを体験する。

*できないこと、できない理由も大事にする。

ワークシート
・意見(気になったこと)
・質問(わからないこと)
・その他

2 体験シミュレーションで理解を深める。

(1-1)1話目:コチキ(介護者)パターンを全員で体験する。
①学級全体で感想・質問を出し合う。
②出された疑問点や感想・気づきを整理する。

(1-2)1話目:アチキ(当事者)パターンを全員で体験する。
①学級全体で感想・質問を出し合う。
②出された疑問点や感想・気づきを整理する。

(2)1話目の議論のテーマ提供「わからないって不安」をもとに、ディスカッション1を行う。
①認知症について、考えたことを出し合う。
②認知症について整理する。

*アチキとコチキを比較しながら考える視点をもたせる。

2 体験シミュレーションで理解を深める。

(1)アチキ(認知症当事者)とコチキ(介護者)の一日を各自体験する。
①各自体験しながら、感想・質問・疑問点を書き出す。
②解説を読み、認知症について考えたことをまとめる。

(2)ディスカッション1
①班で認知症について考えたこと・疑問点を出し合う。
②学級全体で意見を出し合う。
③認知症について、出された意見を整理し、まとめる。
認知症の特質を理解させるとともに、身近な自分の体験とも比較しながら整理する。

(3)ディスカッション2
次の3つの視点から選んで認知症に関連して「できること」を考え、意見を出し合う。

  • 視点1「今、できること」
  • 視点2「社会ができること」
  • 視点3「将来、大人の自分ができること」

3 まとめ

  • 認知症の当事者・家族の思いを動画で確認する。
  • 本時の学習の感想をまとめる。

*時間があれば、認知症クイズ・掲示板で認知症の理解を広げる。

ワークシート

○ 指導者は、サイトの留意事項を事前に十分に確認しておく。
○(4)の視点3については、進路学習の観点で行う。


学習内容及び学習活動指導上の留意点資料・準備

  • 本時のめあてを知る。
    認知症に関する知識を得た上で、それぞれの思いを知り、さらに考えを深めよう。
  • 『「認知症を知ろう」—わたしたちも知っておきたい認知症—』を読んで、認知症に関する基礎的な知識を知る。

生徒の認知症への理解の実態に合わせ、本サイト以外でも、認知症に関する基礎的な知識が得られるようにする(例:認知症こどもサイトを参照する、認知症サポーター養成講座副読本など)。

・認知症サポーター中学生養成講座副読本


●アチキ(当事者)グループとコチキ(介護者)グループに分かれて、それぞれのお話を体験する。

●それぞれの立場で気になった点を発表する。

●体験していないもう一方の視点を体験し、解説を読む。

●同様に、他のストーリーを体験し、生徒同士の意見交流やディスカッションを行う。

  • ・グループでの議論の形式だけでなく、個人での学習も可能。
  • ・ストーリーの中で、気になった言動や言動の理由がわからないなどを話し合う機会にする。
  • ・「当事者」視点のお話では、話の内容が十分に伝わらない可能性も考えられるので、「介護家族」視点も体験できるようにする。
  • ・「キーワード」や資料をもとに社会的な視点にも目を向けさせる。

○ワークシート

  • ・意見(気になったことなど)
  • ・質問(わからないこと)
  • ・その他

○資料

  • 認知症に関わる社会的制度の資料、新聞記事、関連職業一覧

●まとめ

アチキ(当事者)・コチキ(介護者)のそれぞれの立場を体験したことで感じた意見をまとめたり、発表したりする。
また、認知症について、もっと知りたいと思ったことなどをまとめる。

  • ・進路指導や職業指導、今後の福祉に関する学習を見据えたまとめをする。
  • ・介護経験や認知症当事者に関する情報などについては、個人情報に十分配慮した上で、個人の意見を尊重する。