第10期介護報酬改定に向けた要望書を提出しました
2026年10月19日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において、岩村正彦社会保障審議会介護給付費分科会長宛てに「第10期介護報酬改定の審議に向けた要望書」を提出しました。
居宅・地域密着型サービスに関する第2巡目の審議が終了する節目にあたり、今回の要望書では、深刻な人材不足が続くなか、認知症の人に必要な介護サービスを確保し、誰もが経済的な理由で必要なサービスを諦めることのない仕組みを求めました。
令和8年10月19日
社会保障審議会介護給付費分科会長
岩村 正彦 様
公益社団法人 認知症の人と家族の会
共同代表理事 川井 元晴 和田 誠
介護保険・社会保障専門委員会 委員長 志田 信也
第10期介護報酬改定の審議に向けた要望書
私たち「認知症の人と家族の会」は1980 年の発足以来、46 年にわたり認知症の人と家族が直面する困難や介護の実情を社会に訴え、公的支援の充実を求めて活動してまいりました。
この間、2000 年度の介護保険制度施行、そして2024 年の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」施行へとつながり、認知症への社会的理解の浸透と家族の介護負担軽減が図られてきました。今や介護保険制度は、利用者が尊厳を保持し、住み慣れた地域で自立した日常生活を営むための不可欠な社会基盤であり、「必要なサービスを給付する」という本制度の安定的かつ確実な持続を切に願うものです。
しかしその一方で、訪問介護や通所介護といった、在宅生活を支える主要なサービスは、長く抑制策が続きました。さらに近年の深刻な「介護人材不足」によって、要介護認定者が増えているにもかかわらず、希望するサービスを選択できないという切実な事態を招いています。
第10 期介護報酬改定の審議にあたっては、特に認知症の人に直接向き合う対人サービスを維持・確保するため、訪問介護員(ホームヘルパー)や介護職員の処遇改善を抜本的に進めるとともに、介護報酬体系や事業所の指定基準などの見直しを進めていただくよう要望いたします。
介護報酬の引き上げを伴うサービスの充実には、必然的に財源の問題が浮上します。介護保険サービスを利用する本人や家族は、介護報酬改定のたびに対象費用や自己負担額の増大に強い不安を抱いています。在宅における「介護のある暮らし」は長期に及び、「いつまで貯金を取り崩し続けられるか」「家族が離職して介護を担うべきか」といった限界に近い悩みに直面している家庭は少なくありません。
報酬改定による基本サービス費や加算の引き上げが、利用者の経済的理由による「サービス控え」や「利用断念」につながることは断じてあってはなりません。
ついては、介護報酬の引き上げを検討する際には利用者負担への影響を十分に考慮いただき、 区分支給限度基準額の適切な引き上げ、ならびに低所得者層へのきめ細かな負担軽減策を同時に検討していただくよう強く要望いたします。
以上
【要望の主なポイント】
(1)介護職員の抜本的な処遇改善
訪問介護をはじめ、認知症の人に直接向き合う介護職員の処遇を抜本的に改善すること。
(2)区分支給限度基準額の適切な引き上げ
認知症の人は必要なサービス量が多いことから、限度額内に収めるために利用回数を減らさざるを得ない状況を防ぐこと。
(3)低所得者層へのきめ細かな負担軽減策
介護報酬や加算の引き上げが利用者の自己負担増につながり、経済的な理由による「利用控え」や「利用断念」を招かないよう、負担軽減策を講じること。
特に、区分支給限度基準額の引き上げと低所得者層への負担軽減策は、切り離すことなく一体的に検討するよう強く要請しています。
【参考】厚生労働省「社会保障審議会(介護保険部会・介護給付費分科会)」
審議会の配付資料や開催状況は、厚生労働省ホームページをご覧ください。
介護保険部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html
介護給付費分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
第271回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76626.html 【志田委員提出資料】[221KB]



